膵臓の腫瘍について
膵がん、膵嚢胞性腫瘍(IPMN、MCN)、膵内分泌腫瘍
膵がん
早期の膵がんは症状がほとんどなく、進行してから発見されることがほとんどです。
腹痛や体重減少、黄疸の出現、糖尿病の悪化などを契機に発見されます。
膵嚢胞性腫瘍(IPMN、MCN)
膵嚢胞性腫瘍であるIPMNやMCNは粘液産生性の膵腫瘍であり、膵がんの前がん病変であると考えられています。どちらの腫瘍も症状はないことが多く、人間ドックや他疾患の検査で偶発的に発見されることがほとんどです。
IPMNに関しては経過観察となることも多いですが、膵液を消化管に送り出す「主膵管の拡張」や「黄疸の症状」、「造影される5mm以上の結節」がある場合には癌化のリスクが高いとされ、手術適応となります。
当院では専門医による超音波内視鏡などを駆使した詳細な精査が可能です。
膵臓の手術(膵頭十二指腸、膵体尾部切除、膵全摘)
膵頭十二指腸切除
膵頭部腫瘍の主な治療術式は膵頭部、胆管および胆嚢、十二指腸とその周囲のリンパ節や神経叢(しんけいそう)を一括して切除する膵頭十二指腸切除が行われています。
切除に伴い、食物の通り道である消化管と消化酵素(膵臓からの膵液、肝臓からの胆汁)の経路を再建する必要があります。
残存小腸と膵臓、胆管、胃を吻合し、新たな消化管経路を形成します。
膵液瘻
小腸と膵臓の吻合は一般的に縫合不全を起こしやすいことが知られており、膵液がおなかの中に漏れてしまうことを膵液瘻とよびます。
膵頭十二指腸切除術後の膵液瘻の発生率はハイボリュームセンターとよばれる高度医療機関からの報告でも6-33%と比較的高確率で生じることが知られております。重症化すると腹腔内膿瘍を形成したり、その影響で動脈瘤が形成され、致死的な出血につながることがあります。
当院での膵液瘻の発生率は14%であり、2015年以降膵液瘻を契機とした致死的な合併症や追加治療の発生がないことを2021年消化器外科学会総会で報告致しました。
腹腔鏡下/ロボット支援下膵体尾部切除
膵臓がんは進行して発見されることが多いですが、疾患の根治性や安全性が担保された場合には積極的に腹腔鏡手術をご提案致します。
腹腔鏡手術は傷が小さく、低侵襲であることから術後の回復が早いというメリットがあります。
腹腔鏡/ロボット支援下手術による膵切離
主治医の先生方へ
膵腫瘍は発見・診断が難しい疾患です。
当院では胆膵内科医による超音波内視鏡診断・生検も可能です。
ロボット支援下手術による低侵襲手術や膵がんに対する血管合併切除手術なども行っておりますので、お気軽にご紹介下さい。