肝臓がんについて
肝臓がんは「原発性肝癌」と「転移性肝がん」があります。
・原発性肝がん : 肝細胞癌、肝内胆管癌
・転移性肝がん : 他の臓器に原発の腫瘍があり、その腫瘍が肝臓に転移してできた腫瘍
ともに腫瘍の大きさや数、肝臓の状態によってさまざまな治療法があり、最適な治療を検討し患者様に提供しています。
肝臓の手術について
肝臓は血流が豊富な組織であり、肝機能や残肝容積(肝切除後に残る肝臓の容積)により切除術式や治療戦略が変わることから、手術の専門性が高いと考えられております。
当科は複数名の専門医(肝胆膵高度技能指導医、肝胆膵高度技能専門医、肝臓専門医、腹腔鏡技術認定医(肝))が在籍しており、県内でも有数の専門施設となっております。
腹腔鏡下肝切除
当院では積極的に腹腔鏡による肝切除を行っております。
腹腔鏡鏡手術のメリットは傷が小さく、傷の痛みが少ないため術後の回復が早いことが挙げられます。
4Kカメラの導入により拡大視効果が得られ、手術の精度も向上して参りました。
腫瘍の数や大きさ、存在部位によって腹腔鏡手術の適応にならないこともありますが、安全性と根治性を考慮しながら、積極的に腹腔鏡手術を行っています。
大腸癌肝転移の治療について
肝臓は大腸癌をはじめとする多くの癌の好発部位として知られています。
特に大腸癌は35-55%で肝臓に転移再発するといわれておりますが、完全切除により長期生存が期待できると言われております。
化学療法を中心とした非手術治療の5年生存率が20%に満たないのに対し、肝転移の完全切除を遂行した患者様の5年生存率は50%を超えると言われております。
大腸癌肝転移の手術について
すべての大腸癌肝転移に手術が可能というわけではありません。手術による腫瘍の完全切除が、化学療法の導入・継続と比較して有効と判断され、安全に手術が行える場合に手術を提案します。
具体的には残肝容積や他臓器転移の有無などによって手術適応を決定しており、再発リスクが高い場合には術前化学療法を併用した手術を提案しております。
詳細な病変の評価
造影CT検査(CECT)では検出できない転移病変も造影MRI検査(Gd-EOB-MRI)や造影超音波検査を駆使して検出し、治療戦略を提案します。
こういった詳細な検査の積み重ねにより病変の遺残やメリットの少ない過大手術の回避に努めています。
詳細な3Dシュミレーションと治療計画
3Dシュミレーションソフトを用いて、転移性肝がんと主要な肝臓の血管との位置関係を把握し、綿密な切除計画を立案し、手術を行っております。
手術後の残肝容積の計算も可能であり、術後の肝機能障害、肝不全のリスクの検討も可能となっております。
大腸がん肝転移外来
当院では大腸癌肝転移の手術を含めた包括的な治療の提案を目的とした大腸がん肝転移外来を開設しております。お気軽にお問い合わせください。
主治医の先生方へ
手術適応や集学的治療の治療方針についてのご相談も承っております。当院での術前、術後補助化学療法、経過観察フォローも含めて対応可能です。お気軽にご相談ください。