生化学検査

生化学検査室とは?

生化学検査では、患者さんから採取した検体(血液、尿、穿刺液など)に含まれる成分の定量検査を行っています。全自動分析装置を用いて成分を数値化し、複数の検査項目の組み合わせによって病気の診断や重症度・治療効果の判定などに役立てています。
現在、臨床検査技師4名で担当しており、迅速に正確なデータを報告できるよう検査結果の確認や精度管理・メンテナンスなどの業務に取り組んでいます。

採血から分析までの流れ

採血室で採取した血液を遠心処理し、上清(血清、血漿)を用いて検査しています。検査時間は検査項目や混雑状況、再検査の有無によって異なりますが、30分~60分程で診療科へ報告できるよう努めています。

写真:遠心分離機
イラスト:やじるし
写真:上清(血清、血漿)

溶血

写真:溶血検体

溶血検体では赤色を呈しています。
これは、何らかの原因で赤血球が壊れてしまったために起こります。
溶血性疾患により起こることもありますが、採血手技によるものがほとんどです。項目によっては検査結果に影響をきたしてしまうため、正確な検査結果を報告するために再採血をお願いすることがあります。

乳び

写真:乳び検体

乳び検体では乳白色を呈しています。
原因として脂質代謝異常や食事の影響が考えられます。
食後に採血してしまうと、中性脂肪が分解されず上清が濁ったような状態になり、検査結果にも影響があります。

黄疸

写真:黄疸検体

黄疸検体では通常よりも黄色を呈しています。
代謝異常により、血清中のビリルビン濃度が増加している状態で起こります。
主な原因疾患は、肝炎、肝硬変、肝ガンなどがあります。

主な検査項目 

生化学検査

検体中に含まれる蛋白、酵素、電解質、金属イオン、脂質、血糖などの成分を測定しています。これらの成分を測定することで、肝機能や腎機能など体の健康状態が把握できます。多くの病気の診断や治療効果の判定に欠かせない重要な検査です。

新生児の足踵採血も行っており、少量の検体での分析が可能となっています。

目的 測定項目
肝・胆道系T-Bil、D-Bil、ALP、AST、ALT、γ-GT、ChE、LAP、AMY
心臓LD、CK
腎臓BUN、CRE、UA
脂質TC、LDL-C、HDL-C、TG
電解質イオンNa、K、CL、Mg、iP、Ca
蛋白TP、ALB、β2MG
糖代謝Glu、HbA1C、GA
免疫IgG、IgA、IgM、C3、C4
薬物濃度バルプロ酸、テオフィリン、バンコマイシンなど
心筋マーカートロポニン、CK-MB、ミオグロビン

腫瘍マーカー

体内の腫瘍から産生される物質を「腫瘍マーカー」といいます。臓器によって特異性が異なり、癌の進行度や治療効果を調べるのに有効な検査です。特異性の高い項目(PSAなど)は癌のスクリーニングとしても利用されますが、多くの腫瘍マーカーは癌以外の要因でも上昇することがあるため、あくまでも補助的な役割で測定されています。

対象臓器 測定項目
肝臓AFP、PIVKA-2
消化器CEA、CA19-9
乳腺CA-15-3
卵巣CA125
前立腺PSA

内分泌系

内分泌とは分泌腺から血液やリンパ管に分泌される働きであり、このとき分泌された物質をホルモンといいます。

目的 測定項目
甲状腺TSH、FT3、FT4、サイログロブリン
胎盤hCG
男性ホルモンテストステロン

感染症検査

ウイルスや細菌感染の有無を調べる検査です。体内に存在するウイルスを検出する抗原検査と、体内に入り込んだウイルスに対する抗体を検出する検査に分かれています。通常、ウイルスに対する抗体が作られるまで数週間を要します。

感染症 測定項目
B型肝炎HBs抗原・抗体、HBe抗原・抗体
C型肝炎HCV抗体
梅毒TP抗体、RPR
後天性免疫不全症候群HIV抗体
敗血症プロカルシトニン

血液ガス分析

体内に酸素を取り入れ、体内から二酸化炭素を排出することをガス交換といい、肺胞と毛細血管との間で行われています。血液ガス分析では、動脈血中の酸素分圧、二酸化炭素分圧、pH、酸素飽和度、重炭酸イオン濃度などを測定することで、肺障害の有無、酸塩基平衡、ガス交換の状態を調べることができます。

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