必修項目にある現場の経験とは、各現場における到達目標の項目のうち一つ以上経験すること。
1.救急医療
生命や機能的予後に係わる、緊急を要する病態や疾病、外傷に対して適切な対応をするために、
- バイタルサインの把握ができる。
- 重症度及び緊急度の把握ができる。
- ショックの診断と治療ができる。
- 二次救急処置(ACLS=Advanced Cardiovascular Life Support、呼吸・循環管理を含む)ができ、一次救命処置(BLS=Basic Life Support)を指導できる。
注:ACLSは、バッグ・バルブ・マスク等を使う心肺蘇生法や除細動、気管挿管、薬剤投与等の一定のガイドラインに基づく救急処置を含み、BLSには、気道確保、心臓マッサージ、人工呼吸等の、機器を使用しない処置が含まれる。 - 頻度の高い救急疾患の初期治療ができる。
- 専門医への適切なコンサルテーションができる。
- 大災害時の救急医療体制を理解し、自己の役割を把握できる。
必修項目→救急医療の現場を経験すること。
2.予防医療
予防医療の理念を理解し、地域や臨床の場での実践に参画するために、
- 食事・運動・休養・飲酒・禁煙指導とストレスマネージメントができる。
- 性感染症予防、家族計画を指導できる。
- 地域・産業・学校保健事業に参画できる。
- 予防接種を実施できる。
必修項目→予防医療の現場を経験すること。
3.地域医療
地域医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
- 患者が営む日常生活や居住する地域の特性に即した医療(在宅医療を含む)について理解し、実践する。
- 診療所の役割(病診連携への理解を含む。)について理解し、実践する。
- へき地・離島医療について理解し、実践する。
必修項目→へき地・離島診療所、中小病院・診療所等の地域医療の現場を経験すること
4.周産・小児・成育医療
周産・小児・成育医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
- 周産期や小児の各発達段階に応じて適切な医療が提供できる。
- 周産期や小児の各発達段階に応じて心理社会的側面への配慮ができる。
- 虐待について説明できる。
- 学校、家庭、職場環境に配慮し、地域との連携に参画できる。
- 母子健康手帳を理解し活用できる。
必修項目→周産・小児・成育医療の現場を経験すること。
5.精神保健・医療
精神保健・医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
- 精神症状の捉え方の基本を身につける。
- 精神疾患に対する初期的対応と治療の実際を学ぶ。
- デイケアなどの社会復帰や地域支援体制を理解する。
必修項目→精神保健福祉センター、精神科病院等の精神保健・医療の現場を経験すること。
6.緩和ケア、終末期医療
緩和ケアや終末期医療を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、
- 心理社会的側面への配慮ができる。
- 治療の初期段階から基本的な緩和ケア(WHO方式がん疼痛治療法を含む。)ができる。
- 告知をめぐる諸問題への配慮ができる。
- 死生観・宗教観などへの配慮ができる。
必修項目→臨終の立ち会いを経験すること。
7.地域保健
地域保健を必要とする患者とその家族に対して、全人的に対応するために、保健所、介護老人保健施設、社会福祉施設、赤十字社血液センター、各種検診・健診の実施施設等の地域保健の現場において、
- 保健所の役割(地域保健・健康増進への理解を含む。)について理解し、実践する。
- 社会福祉施設等の役割について理解し、実践する。