一般目標

日常診療で頻繁に経験する整形外科的疾患(脊椎、関節疾患、腫瘍性疾患、外傷一般)に対する診断、治療、周術期管理が適切にできるよう、基本的な知識、技能、態度を身につける。

脊椎疾患

行動目標

  1. 正確な手技で神経学的所見をとることができる。
  2. 神経学的所見から障害部位を特定できる。
  3. 診断および治療に必要な検査を選択、指示できる。
  4. 脊椎疾患に対する適切な治療法の選択ができる。

チェックリスト

知識

  1. 頚椎性脊髄症と神経根症の鑑別ができる。
  2. 腰部脊柱管狭窄症の診断、鑑別ができる。
  3. 腰椎椎間板ヘルニアの診断、鑑別ができる。
  4. 脊椎疾患に対する治療法の選択と予後の推測ができる。

技能

  1. 正確な神経学的所見をとることができる。
  2. 神経学的所見から障害部位を特定できる。
  3. 単純X線写真の読影ができる。
  4. 脊髄造影の実施とその評価ができる。
  5. 椎間板造影、神経根造影の実施とその評価ができる。
  6. 脊椎のCT、MRIを造影できる。
  7. 臨床所見と画像所見から病変部位を特定し、治療方針を決定できる。
  8. 周術期管理ができる。(装具、リハビリを含む)

関節疾患

行動目標

  1. 四肢の所見が正確にとれる。
  2. 頚椎疾患と肩関節疾患、腰椎疾患と股関節疾患の鑑別ができる。
  3. 関節疾患に対する診断および治療に必要な検査を選択、指示できる。
  4. 関節疾患に対する適切な治療の選択ができる。

チェックリスト

知識

  1. 四肢の関節の基本構造と働きを説明できる。
  2. 四肢の関節の疼痛、機能障害をきたす疾患の鑑別ができる。
  3. 関節疾患に対する治療法の選択と予後の推測ができる。

技能

  1. 四肢の関節の炎症所見(発赤、疼痛、腫脹、熱感)を正確に評価できる。
  2. 診断に必要な圧痛部位を正確に評価できる。
  3. 各種誘発テストを正確に行い正しく評価できる。
  4. 臨床所見と画像所見から病変部位を特定し、治療方針を決定できる。
  5. 周術期管理ができる(装具、リハビリを含む。)

腫瘍性疾患

行動目標

  1. 骨、軟部腫瘍の視診、触診ができる。
  2. 骨、軟部腫瘍の単純X線写真、CT、MRIが読める。
  3. 臨床所見と画像所見から鑑別診断を列挙できる。
  4. 生検標本の病理所見から診断を確定できる。
  5. 骨、軟部腫瘍に対する治療方針の決定と予後の予測ができる。

チェックリスト

知識

  1. 単純X線写真から骨腫瘍の鑑別診断が列挙できる。
  2. CT、MRIから骨、軟部腫瘍の鑑別診断が列挙できる。
  3. 転移性脊椎腫瘍の原発巣の検索ができる。
  4. 化学療法、放射線療法の適応の決定とその効果判定ができる。

技能

  1. 針生検ができる。
  2. 臨床所見と画像所見から診断、治療方針を決定できる。

外傷一般

行動目標

  1. 外傷患者に対する臨床的能力を身につける。
  2. 外傷患者の診断に必要な検査を迅速に判断し、指示できる。
  3. 外傷の合併症を予測し迅速に適切な対応ができる。
  4. 必要に応じて専門医に診療を依頼できる。

チェックリスト

知識

  1. バイタルサインを正しく把握し、生命維持に必要な処置を的確に行う。
  2. 問診、全身の診察および検査によって得られた情報をもとにして、迅速に判断をくだし初期診療計画をたて、実施できる。
  3. 指導医または専門医の手にゆだねるべき状況を的確に判断し、申し送りできる。
  4. 小児の場合、保護者から必要な情報を要領よく聴取し、小児に不安を与えないよう診察を行い、必要な処置を原則として指導医のもとで実施できる。
  5. 受傷機転と臨床所見から骨折、脱臼、靭帯損傷、腱断裂の臨床診断が的確にできる。
  6. 神経、血管損傷の合併の有無を判断できる。
  7. 統合検査(血液学、血清学、生化学)、尿一般検査、細菌検査、生理検査、さらに必要な画像検査を選択、指示し、結果を正しく解釈できる。
  8. 滅菌、消毒法の基本を理解している。
  9. 薬剤(特に消炎鎮痛剤、抗生物質)、輸血、血液製剤の使用法を理解している。

技能

  1. 固定(包帯、副子、ギプス、テーピング)が適切にできる。
  2. 直達、介護牽引ができる。
  3. 洗浄、デブリドマン、皮膚縫合ができる。
  4. 指導医のもとで単純な骨接合、腱縫合ができる。
  5. 術前準備(体位、手洗い、包帯のかけかた)、手術の介助ができる。
  6. 創処置(ガーゼ、包帯交換、皮膚縫合、切開を含む)、ドレーン、チューブ類の管理ができる。
  7. 注射(皮内、皮下、筋肉、関節、点滴、静脈確保)ができる。
  8. 採血(静脈血、動脈血)できる。

研修方法

  1. 主に入院患者を数名担当し、指導医とともに周術期管理を学ぶ。
  2. 上級医の指導のもと外来診療を学ぶ。
  3. 上級医、指導医とともに手術に入り、基本的手術技法を学ぶ。
  4. 総回診前、ケースカンファレンスで症例提示を行い、プレゼンテーション能力を磨く。

指導医

木村 善明、柏倉 剛、櫻場 乾

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