麻酔科での研修はそれぞれの麻酔科業務の中における実技を中心に行っており、用手的気道確保、バックマスクによる喚気、正しい咽頭鏡の操作、気管内挿管など、医師としての基本的な技術を段階的に習得していくことを目標としている。
おおまかなスケジュールとしては研修期間をおおよそ3分し、3分の1では気道確保とバックマスクを、次に気管内挿管と希望に応じて硬膜外穿刺手技を、最後に麻酔科的な患者評価法の研修を行う。
以下に具体的な研修項目を列挙する。
術前回診においては
- 患者の理解力に応じた分かりやすい麻酔の説明を行う。
- 合併症の有無や麻酔に関係する既往歴を聞き出す。
- 合併症の程度を評価して、それに応じた適切な麻酔計画を立てる。
- 麻酔に関するリスクを過不足なく患者に伝える。
- 気管内チューブのサイズが選択できる。
- 麻酔前投薬の種類と量を判断できる。
麻酔導入においては
- 手術部位に応じた硬膜外麻酔穿刺部位の選択
- 硬膜外麻酔に必要な解剖が理解できる。
- 清潔・不潔の概念が理解できる。
- 抵抗消失法による硬膜外腔の確認ができる。
- 硬膜外麻酔に用いる局麻酔と投薬量の判断ができる。
- 麻酔法・全身状態に応じて必要となるモニターを選択できる。
- 麻酔管理に用いるモニターについて、意義・特徴が理解できる。
- 用手的な気道確保を行うことができる。
- 呼吸状態の判断を行うことができる。
- マスク保持ができる。
- バッグを用いたマスク換気を行うことができる。
- ラリンジアルマスクを留置することができる。
- 喉頭鏡を正しく扱うことができる。
- 喉頭鏡を使って口腔内を観察できる。
- 喉頭鏡を使って口腔内のサクションができる。
- 気管内挿管の手技の流れを理解できる。
- 気管内挿管を行うことができる。
- 気管内挿管の合併症を理解し、避けるよう努力できる。
- 気管内挿管に必要な薬剤を選択できる。
- 気管内チューブを確実に固定できる。
- 気管内チューブの適切な深さが判断できる。
- 気管内サクションを適切に行うことができる。
- セルジンガー法の手技と理屈が理解できる。
- セルジンガー法による中心静脈穿刺の介助ができる。
麻酔維持においては
- 水分バランスを推測し、輸液管理ができる。
- 循環管理の必要性が理解できる。
- 降圧剤、昇圧剤の種類が理解できる。
- 作用機序を理解し、状況に応じた昇圧剤の使い分けができる。
- 手術中のバイタルサインの変動を読み取ることができる。
- 呼吸管理の必要性が理解できる。
- 調節呼吸の設定ができる。
- 筋弛緩剤の効果を判定し、追加投与の必要性が判断できる。
麻酔維持においては
- JCSスコアによる意識レベルの判定ができる。
- 呼吸状態の評価ができる。
指導医
佐藤 ワカナ、長崎 剛、越村 裕美、重臣 宗伯