低侵襲手術支援ロボット「ダビンチ」
ロボット手術はどんな手術?
ロボット手術といってもロボットが自動で手術を行うのではなく、患者さんのお腹に開けた小さな穴に手術器具を取り付けたロボットアームと内視鏡を挿入し、医師がサージョンコンソールと呼ばれる操作ボックスの中で内視鏡画像を見ながら操作して手術をします。

ロボット手術の特徴
体への負担が少ない
数か所の小さな切開部から手術を行うため、傷が小さく、手術後の回復が早く患者さんの負担が軽減されます。
↓前立腺全摘除術の傷口の比較

鮮明な3D(3次元)画像

コンソールモニターには高画質で立体的な手術画像が写し出され、術者はリアルな立体画像を見ながら手術を行うことができます。
精密な動きを再現
ダビンチの手術器具は可動域が広くこれまでの手術で行うことの難しかった複雑な作業も可能となります。また、コンピュータ制御により術者のわずかな手の震えを感知し、手ぶれをゼロにすることで、高い集中力が必要とされる細かな作業でも正確に、より安全に手術が行えます。
安定した視野
従来の腹腔鏡手術では内視鏡を人間が持つため、手ぶれや腹腔内での器具のぶつかり合いによりどうしても内視鏡の視界が揺れたり、見えにくくなることがありました。ロボット手術ではコンピュータにより内視鏡と器具の位置が自動で制御され、視界のゆれを無くすことができます。これにより、より正確で精密な手術が可能となっています。
訓練を受けた医師のみが操作
ロボット手術は最新技術ではありますが、万能ではありません。当院では、術者をはじめとした医療スタッフが十分なトレーニングを受け、常に安全を意識して手術に臨んでいます。また、これまでに報告されたダビンチのシステムエラーは0.2〜0.4%と極めて低いのですが、万が一術中にシステムエラーが発生した場合でも迅速に通常の術式に変更できるよう、日頃より緊急事態を想定した訓練を実施しています。
↓当院の手術室(中央に手術ベッドがあり、その上にダビンチがセットされています。)


実際の手術風景

術者はコンソールに座り(写真右奥)、ダビンチ(写真中央)のアームと呼ばれる術者の手の代わりをする部分を遠隔で操作して手術を行います。助手は患者さんの傍について、ダビンチのアーム部分の調整を担当するなど、術者の補助をします。
当院で受けられるロボット支援下手術(令和5年5月31日時点)
当院では下記の疾患に対してダビンチによるロボット支援下手術を導入しております。
消化器外科
- 結腸、直腸切除
- 胃切除
- 膵体尾部切除
- 肝切除(6月導入予定)
泌尿器科
- 前立腺全摘
- 仙骨膣固定術
婦人科
- 子宮全摘術
- 子宮体がんに対する子宮手術
よくある質問
Q:費用面はどうなのでしょうか?他の手術よりお金がかかるのでしょうか?
A:一部の手術では若干かかるものがありますが、ほとんどは腹腔鏡手術と同じです。入院期間は短いので総額は安くなることも多いです。
Q:手術を受ける患者にはどういったメリットがあるのでしょうか?
A:出血が非常に少なくてすみます。周囲の神経など大事な組織を傷つけないことも大きな利点です。がんの取り残しが少なくなることも期待されています。傷口も小さいため、手術後の疼痛が軽減される他に整容面でも早期の回復が期待できます。
Q:ロボット支援下手術は誰でも受けられますか?
A:すべての手術がロボットでできるわけではありません。患者さんの病状などを加味して、ロボット手術が最適かどうかを医師が決定します。
Q:ロボットに手術されるのは、少し怖い気がします。
A:ロボットはあくまで手術をサポートする役割であり、医師がロボットを活用し、より精密な手術を可能にしたのがロボット手術とお考えください。ロボット手術は、十分なトレーニングを積んだ医師のみにより行われる手術です。
