炎症性腸疾患・IBD 外来
当院では、炎症性腸疾患・IBD 外来を開設しました。
予約方法
対象 | 炎症性腸疾患(IBD)患者 |
診察日 | 【予約制】 月曜日・金曜日 午前9時から午後4時(担当医師 千葉 満郎) 火曜日・水曜日 午前9時から午後2時(担当医師 辻 剛俊) (祝日や年末年始を除く) |
担当医師 | 千葉 満郎、辻 剛俊 |
予約方法 | 紹介状のある方:紹介医療機関より地域医療連携を通して予約してください。 紹介状のない方:予約センターで予約してください。 |
1.患者さんへ
IBD とは?
炎症性腸疾患は英語でinflammatory bowel diseaseです。広義には腸の炎症による病気を含みますが、狭義には潰瘍性大腸炎とクローン病の2つの病気をさしています。IBDは英語inflammatory bowel diseaseの頭文字をとったものです。
IBD 外来とは?
潰瘍性大腸炎とクローン病の患者さんを診察します。
なぜ専門外来でしょうか?
潰瘍性大腸炎もクローン病も、一度診断されると、慢性の病気ですので、また治るということはありませんので 生涯にわたって病気を背負うことになります。その過程で潰瘍性大腸炎では2割〜3割の方に、クローン病では7割〜8割の方に手術(腸切除)が必要になるとされていました。
若年に発症する病気であり、近年患者さんは増加しています。新しい薬剤の開発も進み、近年数種類の治療薬が発売され、使用できるようになりました。色々な作用から疾患の活動性を抑え、手術を回避できたり、通常の生活を送れるようになってきました。
IBDの症状・病態は多岐にわたり、それぞれに適切な治療・助言が必要です。それは炎症性腸疾患の診療に深く携わった専門医によって可能です。
IBD 外来の受診は?
当院のIBD診療は、千葉医師と辻医師で行なっております。
千葉医師は、食事療法を中心とした治療をしています。活動性の高い時期には、薬剤を使用し症状を落ち着かせ、食事療法を継続することで再発を予防しています。
辻医師は、食事療法を基本としつつ、患者さんの生活様式に合わせ薬剤を選択し、通常の生活を送れるようにします。拡大内視鏡検査や苦痛の少ない小腸検査(MRE)などを定期的に行ない、病状を把握し、治療内容を調整しています。
本院における IBD 診療の特徴 千葉医師より
炎症性腸疾患の原因は不明とされていますが、私どもは豊かになっての食生活の変化が炎症性腸疾患の要因であると考え、炎症性腸疾患は生活習慣病であると考えています。その対策としてセミベジェタリアン食を考えました。この概念に基づいての治療成績は、これまでの国内外の治療成績よりはるかに優っています。食生活の改善には、まずその体験が必要です。そのために炎症性腸疾患と診断された方には、症状が軽微であっても機会をとらえての2週間ほどの教育入院を薦めています。
この新しい概念「炎症性腸疾患は食生活にともなう生活習慣病」の普及がないと、炎症性腸疾患は今後も世界規模で増加し、患者さんは再燃を繰り返すでしょう。この概念の国内外への普及に努めています。
詳細は下記資料をご参照ください(資料希望者は希望資料番号を添えて地域医療連携室へご連絡ください。)
- クローン病の寛解維持にsemi-vegetarian dietが有効。IBDは食事を主とした生活習慣病。Medical Tribune 2010(9月9日)page45
- 千葉満郎。クローン病へのSemi-vegetarian dietの有効性。消化と吸収 2010;33:336-345
- Chiba M et al. Lifestyle-related disease in Crohn’s disease: relapse prevention by a semi-vegetarian diet. World J Gastroenterol 2010;16:2484-2495
- Chiba M et al. Missing environmental factor in inflammatory bowel disease: Diet-associated gut microflora. Inflamm Bowel Dis 2011;17:E82-83
本院における IBD 診療の特徴 辻医師より
炎症性腸疾患は、15歳くらいの学童期から30歳くらいに発症することが多い病気です。この時期は、受験・進学・就職・結婚・妊娠・出産とライフイベントが多い時期です。炎症性腸疾患の治療としては、食事療法が基本ではあるものの、生活様式や病気の活動性に合わせて、可能な限り外来での治療を行なっています。そのため、微小な炎症を評価できる拡大内視鏡検査、苦痛の少ないMRE(MRIを利用した小腸の検査)、検便による大腸炎症の評価(便中カルプロテクチン)などによって、疾患の活動性を評価し、病状が悪化する前に対処するようにしています。近年、新薬の開発が進み、多種多様な薬剤を使用することが出来るようになりました。疾患の活動性が落ち着けば、普通通りの生活が可能となる疾患です。検査結果と症状により、患者さんの生活様式に合わせた実行可能な治療方法を提示するように心がけています。
2.IBD患者さんを担当されている先生へ
上記「本院におけるIBD診療の特徴 担当医師より」の方針でIBD診療にあたっております。Semi-vegetarian diet の食事体験と食事指導を目的とした短期間(2週間ほど)の教育入院を患者さんと日程を相談しながら実施しています。
通常のご紹介とともに教育入院をご利用ください。