てんかん外来
てんかんとは?
大脳における神経細胞は、通常お互いに調和を保ちつつ、規則正しいリズムで電気的な活動を行っています。しかし何らかの要因によりこのリズムが崩れ、電気的な過剰放電が突然生じることによって起こる症状がてんかん発作です。そして、この「てんかん発作」を主症状とする慢性の脳の病気がてんかんになります。てんかんは決してめずらしい病気ではありません。世界には6500万人、我が国では100万人くらいの(人口1000人当たり5〜10人)のてんかん患者さんがいると言われ、どの年代のどの人にも起こり得るコモンディジーズ(一般的な病気)です。
しかし、てんかん発作が繰りかえし出現すると、意識が低下する発作の場合は自動車運転が出来なくなるなど、患者さんの生活の質が低下してしまう事があります。適切なお薬をきちんと服用することで約70%の患者さんの発作は止まる一方、約30%の患者さんでは発作を抑えることが困難となり手術治療が考慮されます。また、お薬で発作は抑えられてはいるものの日中の強い眠気や肝機能障害などの副作用に悩まれたり、胎児へのお薬の影響を懸念され妊娠を躊躇される患者さん方もおられます。てんかん発作ではなく、てんかんに併存する精神症状もしばしば問題となります。このように、てんかん患者さんの診療には専門的知識が必要で、当院脳神経内科では学会認定てんかん専門医が個々の患者さんの状況に合わせた最適な治療を支援いたします。
てんかん発作の症状
てんかん発作というと「意識を失い白目をむいて手足を突っ張らせる」という症状を想像される方も多いのではないでしょうか?しかし、これは電気的な過剰放電が脳全体に行き渡った時の症状で、過剰放電が脳の一部に留まりますと、留まった脳の場所の症状が発作として現れます。以下に代表的は発作症状を記します。
- 意識が保たれる発作:なつかしい景色が目の前に浮かぶ、嫌な臭いがする、恐怖感・不安感に襲われる、視界がおかしくなる、実在しない音が聞こえる、うまく話せない、人の話が理解できない、など。
- 意識が低下する発作:ボーッとして一点を見つめ動作が止まる、口をモグモグさせる、手をもぞもぞ動かす、意味のない動作を繰り返す、何をしていたのか覚えていない、など。
発作時間は通常、数秒から1分程度です。高齢者のてんかんでは意識が低下する発作が多く、知らないで生活されていると大きな事故を招く事があります。また、意識が保たれる発作でも放っておくと大きな全身痙攣発作に繋がることがあります。言うまでもなく、早期診断、早期治療が重要です。
診療内容
原則、学会認定てんかん専門医/脳波専門医が、思春期以降の患者さんの診療を行っております。下記のような方々が対象となります。
- 痙攣などの不随意運動を起こしたり、気を失ったりすることがあるが、てんかんが原因なのか知りたい。
- てんかんのお薬の治療を行っているが発作が良くならない。
- 現在、服用しているてんかんのお薬の副作用が気になる。
- 自分が自動車運転を行って良いのかどうかわからない。
- 出産を考えているが、てんかんのお薬の子供に対する影響が心配。
- 自分のてんかん治療に関して、てんかん専門医の意見を聞いてみたい。
- 小児科に通院しているが、年齢からそろそろ成人科へ通院先を変えたい(移行期医療:トランジション)。
診察について
てんかんの診断には問診が非常に重要です。発作がどんな症状なのか、どういう経過だったのか、お話を伺いながら診断いたします。意識が低下する発作であった場合、患者さんご本人にはどんな発作だったかわからないため、発作を目撃された方や、ご家族、ご友人など普段の患者さんの状態をよく御存知な方と共に来院いただけると、診療情報が多くなり助かります。最近では、ご家族がスマートフォン等で撮影された発作時のビデオが重要な情報となっております。てんかんが疑われ当院に紹介されましたが、病歴から診断に疑問が生じ、精査の結果、てんかん以外の診断となる患者さんもおられます。てんかんと鑑別を要する疾患は、失神、レビー小体型認知症、自律神経疾患、精神疾患、代謝性疾患、薬物・アルコール中毒など多岐にわたります。
検査について
脳波
デジタル脳波計を使用し、通常、外来で検査を行います。頭皮上に基本21個の電極を装着し、大脳から発生する微弱な電位を記録します。外来では、通常、発作を起こしていない時(発作間欠期)の脳波しか記録できませんが、てんかんでは発作がない時でも電気的な過剰放電を記録できる事がしばしばあり、診断に役立ちます。外来脳波検査で異常が認められない場合、長時間脳波記録での異常検出や発作自体を観察する事を目的とし、入院ビデオ脳波モニタリングを行う場合もあります。当院では、原則、学会認定脳波専門医が脳波所見の判読を行います。
MRI
てんかんの原因には、脳卒中、腫瘍、外傷などの他、認知症や大脳の微細な形成異常なども挙げられます。このような病変を高磁場MRIにて調べ、てんかんの診断に役立てます。
血液検査
てんかんのお薬による肝機能障害などの副作用の検索、てんかんのお薬の血液中の濃度測定による薬剤投与量の調節等を目的として行います。
治療について
検査結果に基づき、てんかんと診断されましたら、発作を起こしにくくするお薬(抗てんかん薬)を服用します。お薬には様々な種類があり、これまでの経験から、どのような発作にどんなお薬が効きやすいのかがわかっております。従いまして、てんかん発作症状を正しく診断することが極めて重要です。そして、患者さんと相談の上、ライフスタイルや生活環境にも考慮しながら治療を進めてまいります。
適切な薬物治療を行なっても発作が抑制されない難治性てんかんの場合は、外科的治療が可能な信頼性の高い施設を御紹介いたします。
受診の際のご注意
- 完全予約制
診察は全て予約制となります。
- ご家族同席のお願い
初診時はご家族など発作を目撃なさった方になるべくご同席をお願いしております。
- 紹介状の持参
かかりつけの先生からの紹介状をご持参ください。
予約方法
診察日 | 完全予約制 毎週:火曜日(祝日、年末年始を除く) 午後1時から午後2時 |
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予約受付 | 平日:月曜日から金曜日 (土曜日・日曜日・祝日はお休みとなります) 予約センター(0570-01-4171)で予約してください。 電話番号:0570-01-4171のあとに「1」を押してください。その後、「4」を押してください。 ガイダンスの途中の入力も可能ですので、次の音声ガイダンスが流れ始めましたら番号を押してください。 |
なお、かかりつけ医の紹介状が必要となります。 |