終末期医療に関する指針

 終末期という言葉にはまだはっきりした定義というものがありません。 一般的には医師によって回復の見込みがないという診断をくだされ、それから先数週間ないし数カ月のうちに死亡するだろうと予期される状態になった時期をいいます。 しかし、癌末期のように予後が数日から2〜3か月と予測できる場合もあれば、急性憎悪と緩解を繰り返す慢性の内臓疾患、脳血管疾患や老衰などのように数か月から数年 かけてゆっくり死を迎える場合もあります。厚生労働省の終末期医療決定プロセスに関するガイドラインでは、どのような状態が終末期かは患者さんの状態を踏まえて、 医療ケアチームの適切かつ妥当な判断によるべきだとされています。また、終末期の医療ケアに関しては医療従事者からの適切な情報の提供と説明、患者・家族との十分 な話し合いを行った後に、患者本人の意思決定を基本として進めることが原則だとされています。 しかしながら、終末期の医療ケアに関しては、いまだ国民全体の合意が  明確にされている状況ではありません。

 ここに、終末期医療に関する市立秋田総合病院の基本指針を定め、運用を開始します。しかし、時代の変化、市民の意識変化に柔軟に対応していくため、 必要に応じて検討会議で討議し、時代に即したものに本指針を改めていきます。

終末期の確認と方針の選択・決定

 終末期かどうかの判断は、患者さんの状態等を踏まえて医学的妥当性と適切性をもとに医師・看護師等の多職種からなる医療ケアチームが行います。 家族へは看護師等の同席のもとに慎重に伝えられる必要があります。終末期における(医療の開始、不開始、および中止等の)医療の在り方は患者さんや家族の人生観、 宗教等の社会的背景によって大きく異なりますので、一人一人の患者さんの背景を踏まえて進めていくことになります。 患者さんの背景を的確に捉え、適切な治療とケアを行うには、医療ケアチームの力が必要となります。 患者さんや家族が判断に悩むような時は、医療ケアチームの力を借りながら、慎重に判断して行きます。

 終末期医療及びケアの方針の決定手続きは、医療従事者から適切な情報の提供と説明に基づいて患者さん本人が決定するのを基本として、以下のような手順で進めていきます。
  1. 患者さんの意思が確認できる場合には、患者さんが医療ケアチームと話し合い、患者さんが意思の決定を行い、その合意内容は文書にまとめる必要があります。 患者さんが拒まない限り、合意内容を家族に知らせます。
  2. 患者さんの意思が確認できない場合には、以下の手順で医療ケアチームが慎重に判断しなければなりません。
    • 家族が患者さんの意思を推定できる場合は、その推定意思を尊重し、患者さんにとって最善と思われる治療方針をとります。
    • 家族が患者さんの意思を推定できない場合は、家族と話し合い、患者さんにとって最善と思われる治療方針をとります。
    • 家族がいない場合や家族が判断を医療ケアチームに委ねる場合は、医療ケアチームが慎重に判断し、患者さんにとって最善と思われる治療方針をとります。
  3. 医療ケアチームで医療内容の決定が困難な場合、患者さんとの話し合いで適切な医療内容についての合意が得られない場合、家族間の意見がまとまらない場合等は、 臨床倫理コンサルテーションチームに治療内容の決定を委ねます。そこでも決定が困難な場合は倫理員会にその決定を委ねます。

 患者さんあるいは家族の意思は、状況により変化することを念頭に置き、説明と意思の確認は、繰り返し行うことが望まれます。 その後の医療内容の選択は、決定に際しては、患者さんあるいは家族の意思を踏まえて患者さん、家族と医療ケアチームによって慎重に進められなければなりません。 説明や選択の過程は、その都度記録に残すことが必要です。

苦痛の緩和

 終末期医療でも患者さんの苦痛や不快を最大限取り除いてあげることが基本であり、医療ケアチームはできるだけ苦痛や不快な症状を取り除き、 総合的な医療ケアを行います。苦痛緩和が困難な場合は、医療ケアチームだけでなく、緩和ケアチームなどの助言を求め、苦痛緩和に努めます。

延命処置とリビングウイル(尊厳死宣言)

 患者さんが、過剰な延命治療や処置を希望しないことを申し出られた場合は、その記録を書面で残し、 希望に沿った医療を提供するよう努力いたします。その際は、家族の同意が必要となります。 ただし、時間の経過、病状の変化、医学的評価の変更に応じて、また患者の意思が変化するものであることに留意し、適宜意思の再確認をさせて頂く場合もあります。
 現在、当院では、積極的な安楽死は容認していませんので、患者さんや家族から強いご希望がある場合は、倫理委員会にその判断を委ねます。

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